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ダイワ グレマスターズスタイル 2021 DAIWA GURE MASTERS STYLE 2021 開催案内・情報ダイヤル042-475-2081

大会報告・結果

ダイワグレマスターズスタイル2021全国決勝大会レポート 2022.05.11

グレ湧く甑島の磯を制して念願結実! 池田翔悟選手が完全勝利で頂点に立つ!!

去る2022年4月22日(金)~24日(日)の3日間、鹿児島県薩摩川内市の甑島で「ダイワグレマスターズスタイル2021 全国決勝大会」が開催された。

本大会は新型コロナウイルス感染症の影響で中止となった「ダイワグレマスターズ」に代わり、ダイワ製品ご愛用者様への謝恩の意味も込めて開催が決定されたもの。感染防止対策のため、通常のダイワグレマスターズよりも募集人数を抑える形で予選大会が行われ、各地区大会とブロック大会を勝ち上がった計16名が甑島に集結した。

誰もが心待ちにしていたグレ釣りトーナメントの開催、そして参加選手の過半数が全国決勝大会初出場ということもあり、会場に集った選手の間には独特の緊張感と高揚感が漂っていた。

22日は予選リーグの組み合わせ抽選を実施。抽選により決定した4名1組のグループでマンツーマンの総当たり戦を行い、合計勝ち点の最多獲得者が準決勝へと進む。

わずかな重量差が明暗を分けた激戦の予選リーグ

明けて23日、いつ雨が落ちてくるともわからぬ曇天のなか大会初日を迎えた。

予選は4名のグループで1試合2時間×3試合を戦うリーグ戦形式。勝敗は25cm以上のグレ5尾までの総重量で決定する。勝者には勝点3点、引き分けは釣果のある場合は2点、釣果のない場合は1点が与えられ、グループ内で最も勝点の多い選手が準決勝へ勝ち進むことができる。勝ち点が並んだ場合は、当該選手同士の直接対決の勝敗を採用。これが引き分けの場合は総重量の多い選手が「勝ち」となる。3すくみの場合は予選3試合の総重量で勝者が決定する。

第1グループは、全国大会出場経験を持つ池田、鷲尾の両選手に、初出場の細江選手、野口選手が挑む構図。どの試合も間断なく竿が曲がる白熱の釣り合いが展開されたが、そんな激戦をすべて勝ち抜いた池田選手が準決勝へと進んだ。

第2グループは古川選手、江平選手、小原選手の九州勢3名と和歌山から参加の森本選手が1枠を争って激突。こちらも5尾の上限内でいかに良型を揃えられるかが勝敗を分け、わずか40g差で勝負が決する白熱の試合も見られた。3試合を消化した結果、江平選手と森本選手が勝ち点6で並んだものの、直接対決を制した森本選手が次ラウンドへの権利をつかみ取った。

魚の食いが良く、どの磯も釣り合いの展開が多かっただけに勝負の行方は紙一重。直接対決の結果が勝ち上がりの決め手となったのは、第3グループも同様だった。ブロック大会をトップ通過して甑島に乗り込んだ中村選手、3試合とも安定した釣果を残した鈴木選手と激しい鍔迫り合いを繰り広げたが、吉田(英)選手と松下選手が勝ち点6でその2人を上回ってフィニッシュ。直接対決を約200g差で制していた吉田(英)選手が、準決勝進出を果たした。

全国決勝大会3度優勝。今大会参加者で最も実績を残している江藤選手に、早田選手、吉田(尚)選手、古閑選手の3人の若手が挑むかたちになった第4グループ。すべての試合で両者が5尾を揃え、しかも3人が勝ち点6で並ぶ大混戦となった。大会規定により総重量による順位決定となった結果、ベテランの江藤選手が14,310gで一歩前に出て勝ち抜けを決めた。

激闘から束の間、その日の夜に行われた中夜祭にて準決勝の組み合わせ抽選が行われた。その結果、池田選手対江藤選手、森本選手対吉田選手という組み合わせが決定。前者はグレマスターズ全国決勝大会では常連同士、後者はともに僅差の勝負をしぶとくモノにして勝ち上がった者同士という、見所の多い組み合わせとなった。

どしゃ降りの雨と食い渋りに翻弄された準決勝

迎えた大会最終日。前日から降り続く雨は夜半にその勢いを増し、出港予定時刻には常夜灯の明かりがかすむほどのどしゃ降りとなった。協議の結果、準決勝の開始時刻を1時間遅らせ、競技時間も2時間から1時間半に短縮。天候の回復に合わせたスケジュールに変更して、頂点を決める闘いが行われることになった。

池田選手対江藤選手の試合は「松島のダマ」を舞台に行われた。試合は池田選手が先行する展開で進み、江藤選手は我慢を強いられる時間が続く。それでも江藤選手は、前半の残り時間が15分ほどになった頃合いで起こった潮流の変化を見逃さず、釣り座交代までに3尾のグレを確保。追撃態勢を整えて後半戦へと突入した。

後半戦も池田選手が先釣したが、高切れでウキを失う不運もあり時間をロスすることに。対する江藤選手は淡々と打ち返しながら差を詰めていく。しかし、こちらも根ズレによるバラシに見舞われるなど思うように数を伸ばすことができない。良型尾長を取り込むなど奮闘したものの上限の10尾には届かず、池田選手が先行逃げ切りを完遂して決勝進出を果たした。

森本選手対吉田選手の試合は里港近くの「殿崎灯台下」で行われた。今大会は全体的に魚の食いには恵まれていたが、この試合に関してはさにあらず。前日から降り続いた雨の影響か魚の食いは渋く、今大会で最も厳しい試合展開となった。1尾の価値がその重みを増すシビアな闘いを制したのは、2尾を釣り上げた吉田選手。森本選手を振り切って決勝へと駒を進めた。

栄冠の行方は残り1分まで目が離せない展開に

決勝の舞台に選ばれたのは「犬島の地」。船付場に吉田選手が、中間線を挟んだ右手に池田選手が入って最終決戦がスタートした。どちらが勝っても全国決勝大会初優勝ではあるが、2人とも緊張を感じさせないリラックスした表情で試合開始時刻を迎えた。

先行したのは吉田選手。開始から15分ほどで口火を切るグレを釣り上げ、同じようなパターンで釣り座交代までに計6尾を取り込む。予選リーグからシビアな勝負をモノにして勝ち上がってきただけに、冷静かつ着実に釣果を積み重ねていく一連は非常に落ち着いて見えた。

「勝負は後半だと思っていましたから、前半は取れる魚をきちんと確保しておこうと。今大会は予選リーグも全部勝てましたし、準決勝では対戦してみたかった江藤さんと竿を並べて勝つことができた。だから『イケる!』と信じて臨むことができたんです」

先行を許す展開となった池田選手だったが、試合後にこう語ったように慌ててはいなかった。釣り座左手に発生した潮のカベを繰り返し狙って2尾を確保。後半の巻き返しにすべてを賭け、前半を終えた。

釣り座を入れ替えた後半戦は、池田選手がいきなりトップギアで猛追態勢に入る。再開直後の1尾を皮切りに約20分間で計4尾を取り込み、数の上では吉田選手に並んだ。対する吉田選手も再開から30分ほどでようやく1尾を追加。再び前に出て池田選手にプレッシャーをかける。

試合時間は残り10分強。ここからの1尾は格段にその重みを増す。
そんな頃合いでグレを引き寄せたのは池田選手だった。立て続けに2尾を釣り上げて、再び流れを引き戻す。

「残り1分!」

審判からのコールが掛かるのとほぼ同時に吉田選手が竿を曲げる。この1尾を確保できるか否か、それは勝負の行方を大きく左右する。背後の高場に控えるギャラリーが固唾を呑んで見守る中、慎重なヤリトリで貴重な釣果を取り込んだ。これで8尾対8尾。勝負の行方は検量勝負へと持ち込まれるかに思われた。

「ブワッ!」

そんな雰囲気を一変させる風切り音が、唐突に、そして力強く甑島の海に響く。
吉田選手が取り込みを終えようかというその瞬間、池田選手が大きく竿を煽った。やがて競技時間終了を知らせる笛が吹かれたが、制限時間内に取り込めば検量対象となる。ことさら慎重にヤリトリする池田選手の動向に、磯で見学していた選手や審判、大会役員やプレスまで、すべての人の視線が注がれた。やがて水面に姿を現したグレが網に納まった瞬間、全体を包んでいた緊張感が一気に緩み、2日間、27試合に渡った激闘に終止符が打たれた。

「前半に吉田さんが順調に釣っていたので、自分はまず10尾を揃えることだけに集中しようと。でも、最後の1尾を入れても9尾しか確保できず、検量するまでは負けを覚悟していました。だからですかね、まだ優勝した実感が湧かないんです」

晴れの舞台を全勝で駆け抜けて獲得した念願のトロフィーを前に、新王者は爽やかな笑顔を見せてくれた。

彼が見据える先には偉大な先人の背中があるが、そこに名を連ねる日もそう遠くない。そんな予感を抱かせる、若き新王者の戴冠劇であった。

優勝・池田翔悟選手のコメント

4月の甑島開催ということで産卵後の食い渋りを想像していたのですが、予選リーグ初戦の1投目からグレが釣れて一気に印象が変わりました。本当に魚が多くて、しかもどの魚もよく引く。この2日間で1年分のグレを釣った感じですね。普段はもっとシビアな釣りをしているので、純粋にグレ釣りを楽しめました。

予選リーグを3連勝できたこともそうですが、2日目に残れたことがまずはうれしかったです。しかも、準決勝の対戦相手が尊敬する江藤さんになり、ワクワクしかありませんでした。ただ、試合前はけっこう緊張して準備に手間取りましたけど。それでも前日の3連勝で自信というか、「流れ」がきているな、という感覚があったので、釣りが始まってからは集中できました。こういう場で対戦できたことがうれしかったです。

決勝戦は緊張することなく、リラックスして釣りができました。前半にリードされる展開は想定内でしたから、後半勝負でどうにか数を揃えることに集中しようと。最後まで「負けているかな......」とは思っていましたが、不思議と焦りはなく、掛けた魚を確実に取り込むことだけを意識していました。結果的にはそれがよかったのかもしれません。

ようやく全国の舞台で勝つことができたので、これからは江藤さんや田中貴さんのように何度も優勝を重ねられるように頑張りたいですね。

仕掛けデータ
竿
トーナメント ISO AGS 1.5-53
リール
インパルトLBD 2500H
道糸
ナイロン1.65号
ウキ
円錐ウキ0号、00号
中ハリス
フロロカーボン1.75号
ハリス
フロロカーボン1.75号
オモリ
ガン玉7号
ハリ
グレ6号
配合エサ
強力グレZど遠投2袋
会場の様子

初日(22日)の夜は予選グループの組み合わせ抽選を兼ねた前夜祭を開催。その結果に一喜一憂しつつ、選手同士の親睦を深め合った

各グループの最上位が準決勝に進出する。激戦を勝ち抜いて大会最終日の準決勝に残ることが選手にとって最初の目標となる

組み合わせ抽選後、鵜澤政則競技委員長によるインタビューが各選手に行われた。鋭いツッコミに選手たちも思わず本音が漏れる

23日の早朝、リーグ戦を前にした選手たちが里港に集まり、戦いを前にマキエを作る。準備中も選手同士距離をとるなど、感染症対策を意識した大会運営が徹底された

リーグ戦は1試合目から大いに白熱。どの試合もグレが活発にエサを追って竿を曲げてくれた

甑島のグレは全体的に引きが強く、抜き上げて取り込むようなサイズでも竿を絞り込んで最後まで抵抗する。この食いの良さと強い引きは、選手の戦略にも大きく影響した

4月下旬という時期に産卵後の食い渋りを懸念する声もあったが、グレの食いはすこぶる良好。エサ取りが少なく掛かる魚がほぼグレ、という点も、初めて当地を訪れた選手を中心に驚きの声が上がった

予選リーグでは、5尾の上限内でいかに重量を上積みするかが勝敗を分けるポイントとなった。5尾に到達したところで目標を切り替え、いかにして良型を揃えていくか。短い試合時間内での戦略の切り替えも重要となった

検量結果が出た直後、握手や労いの言葉ではなく静かにグータッチを交わしてお互いの健闘を称える光景が多く見られた。これもトーナメントにおける新しい日常が垣間見えたひとコマ

選手たちが釣り上げたグレは、当地で高齢者などの生活支援を行っている「もやーど里」へと寄贈された。予選リーグ戦結果発表会には川道英樹グループ長に参加いただき、寄贈式が行われた

予選リーグ戦結果発表会では準決勝の組み合わせ抽選も行われた。予選リーグを唯一3連勝した池田選手の相手は、過去に「グレマスターズ」を3度制した江藤選手。勢いでさらなる高みに到達するか、それとも経験が勝つか!?

準決勝のもう1試合は、ともに星の取り合いとなった予選リーグを僅差で制した森本選手と吉田選手の対決に決定。ともに正確な打ち返しを徹底して釣果を重ねてきただけに、こちらも激しい競り合いが予想される

24日は強まる雨によって大会スケジュール変更を余儀なくされたものの、6時過ぎに準備が開始された。選手の顔にも、前日までとは異なる緊張感が色濃く感じられた

松島のダマで行われた池田選手と江藤選手の対決は、常に先行した池田選手(写真右)が勝利。江藤選手も良型尾長を取り込むなどして後半に追い上げたが、数で上回った池田選手に軍配が上がった

殿崎灯台下で行われた森本選手対吉田選手の対決は吉田選手に軍配。釣り合いとなった前日の展開とは大きく異なる厳しい状況だったが、数型ともに上回って決勝進出を果たした

タイトル挑戦を前にして無念の準決勝敗退となった森本選手。ただ、予選リーグ初戦で黒星を喫しても決して崩れず、メンタルを整えて準決勝まで這い上がった精神的な強さは特筆であった

決勝戦の舞台に選ばれた「犬島の地」。野島や筒島を正面に臨む水道向かいの釣り座で頂点を決める戦いが繰り広げられた

激戦を勝ち抜いて決勝戦へと勝ち上がったのは池田翔悟選手(右)と吉田英司選手(左)の2人。どちらが勝っても全国決勝大会は初戴冠となる

前半に釣果を重ねて先行した吉田選手だったが、釣り座が変わった後半は思うように数を伸ばせなかった。それでも試合終了間際に尾数で並ぶ1尾を取り込むなど最後まで好勝負を演じてくれた

後半勝負という事前の目論見を完遂して頂点に立った池田選手。結果的に5戦全勝という圧巻の強さで、「グレマスターズスタイル2021」の頂に到達した

尾ノ上幸司朗大会委員長より池田選手に優勝トロフィーが授与される。5度目の全国決勝大会出場で悲願の初制覇。その重みは何よりの喜びであろう

上位入賞者には芋焼酎やうにみそなど、地元・薩摩川内市の名産品のセットも贈呈された

左から準優勝の吉田英司選手、優勝した池田翔悟選手、第3位の江藤義紀選手、森本敦久選手。2日間の激闘を戦い抜いた4選手には、他の選手からも大きな拍手が送られた